【妹が無口な訳】


 美代(みよ)が初めて俺の家に来た時、とっても奇妙な感じがした。
母親が他界して5年目の夏の事、親父が突然再婚するという話を持って
きた。子供だった俺には母親が新たにできるという感覚は無くて、
知らない人が突然押しかけてきて同居するって気分だった。

 だから、美代を義妹として迎える事が出来なくて、その時俺はずっと
不機嫌な顔をしていた。

【……】

 真っ赤な顔をして、美代は小さくお辞儀をした。その美代を俺は睨み
返してしまった。美代は直ぐに母親の後ろに隠れてしまったけど、睨む
ほど嫌だったんじゃない。ただ単に恥ずかしかっただけだと思う。
天然のウエーブが掛かった肩位までの髪に、くりくりとした目。口数が
少なくて、目立たない子というのが美代の第一印象だった。
 俺は子供の時に母親が死んでから、ずっと父親に育てられていた。
だから、女の子にどう接したらいいかなんて、その時は全く分から
なかった。そして、とても怖くて、どきどきしていた。

 でも、差し出された小さな手を握り返した時、そんな気持ちがすっと
引いていったような気がした。
それは、握った美代の小さな手も震えていたからだ。妹になるこの子も
怖いんだ。そう思った時、不思議と怖いという気分が消え、守ってあげたい
という気持ちが芽生えていた。


 そして今10年の月日が流れ、俺は高校をもう直ぐ卒業する。東京の
大学を受験する予定の俺は、この春この家を出て下宿をする予定だ。
美代はまだ高校2年で高校生活をエンジョイしている……と、思う。
何故、俺がここで希望的観測なモノの言い方をするかというと、美代の
性格がちょっと心配だったからだ。

(トン、トン)

 『Miyo』というネームプレートの掛かった扉をノックする。
暫くすると扉がゆっくりと開いて、美代が眠たそうな眼を擦りながら
部屋から出てきた。
「おい、もう遅刻するぞ。そろそろ起きようぜ」
「……」
「今日は2月14日だろ。そんなのんびりしていていいのか?用意とか
あるんじゃないか?」
「……ない」
 何だか不貞腐れている。いつもこんな調子だ。大体、2月14日と
いえば、女の子にとって見れば一大イベントじゃないのか?製菓
メーカーの陰謀に乗って、ワイワイと盛り上がるのが普通の女子高生
だろうに。

「お前なぁ。そこそこ可愛い顔しているんだから、期待している男子も
多いと思うぞ。義理チョコでもやって、ちょっと愛想を振りまけばボーイ
フレンドの1ダースも直ぐにできるだろうに」
「……」
 じっと黙って俺を見つめる。この10年で兄の俺が言うのも何だが、
美代は可愛く成長した。セミロングの髪がふわっと腰に掛かり、切れ長の
目に長いまつげ。すっと鼻筋が通り、微笑むと日本人形のような清楚な
感じのする少女になった。
「もしかして、義理チョコも無しか?」
「……ん、」
 ところが誤算はこの性格だ。口数が極端に少ない。しかも、
男にてんで興味がない。中学の頃から俺が知っているだけで
美代は20人には告白されているはずだ。その度にこの義妹は
決まってこの言葉を口にする。

【困ります……】

 俺からすれば、なんて高飛車な受け答えだと思うのだが、
世の中の男供にとって見ればこれがまたいいらしい。美人で
クリーンで清楚。しかも、勉強も学年の常に上位クラス。
高嶺の華という奴なんだろうが、俺からして見れば、今
パジャマで寝ぼけ眼(まなこ)の妹が高嶺の華にはどう見ても
見えないぞ。
「とにかく、直ぐ着替えて直ぐ来いよ……ってお、おいっ!」
 美代がその場でパジャマのボタンを外し始めやがった。慌てて
振り向いて視線を逸らす。
「馬鹿、俺以外の奴の前でそんな恥ずかしい事、絶対やるなよ。
美人のイメージが崩れ落ちるぞ。正体、ばれるぞ」
「いい」
「俺が困るだろ。美人の妹が俺の唯一の自慢なんだ。この俺が
ここまで守ってきたって触れ込みなんだから。正体ばれたら
彼氏になる奴が俺くらいしかいなくなるぞ。いいか、わかったな」
「…………うん」
 俺と美代はこんな日常を繰り返していた。学校で完璧なはずの
妹が何故か俺の前ではとてもだらしが無い。小学校の時は犬に
襲われそうになっても逃げないし、中学校の時は変なナンパ野郎に
連れて行かれそうになってもぼうっとして逃げない。その度に俺は
美代を助ける役目をしてきて、損ばかり被って来た。全く、しょう
がない義妹だよ。

 やれやれという気持ちで母親が作ってくれた朝ごはんを食べ
ようと階段を降りようとする。すると、美代が俺の肩をぽんと叩く。
何だ?と思って振り向くと、美代が俯いて手に包みを持っていた。
「はい」
 手渡されたピンクの包み。可愛い包装紙に赤いリボンが掛かって
いる。
「何だ……義理チョコ、無いって言っていたのにあるんじゃないか。
サンキュー。誰からも貰えないと寂しいと思っていたんだ」
 俺は制服のポケットにそれを仕舞いこむと、上機嫌で階段を降りた。
「……義理はないよ」
 僅かに揺れる髪。俺はそれを聞いてはいなかった。


 高校3年の2月にもなると、学校での授業というのは殆ど無い。
出席を取って終業というのが普通になる。受験勉強も追い込みの
時期に来ており、教室の中もかなり切羽詰った雰囲気になっている
場合が多い。
「勉強をする前に、糖分の補給でもしておくか」
 脳の活性化には糖分がいいという豆知識を知っていた俺は、今朝
美代からもらった包みをポケットから取り出した。
小さな包みを無造作に開けると、中には可愛いチョコとメッセージ
カードが入っていた。
「あれ、何だこれ?」
 小さな箱には4つ折にしたメッセージカードが入っていた。その
メッセージカードを俺は何気なく読んでみる。

≪兄さん。今日、どうしても渡したいものがあります。受け取って
いただけるのなら、私が帰って30分したら部屋に取りに来てください。
 美代≫
「何でこんな2度手間な事をするんだ?チョコ渡したのにわざわざ
時間指定までして……ははぁ、分かった。請求書だろ。それも3倍
返しの。欲しいものがあったから、義理チョコ渡しておねだりか。
30分後というのは、買出しに行くんで私服にでも着替えるんだろ。
まぁ、見え透いた手だが、今日は気分がいいし乗ってやるか」
 俺はそのメモをポケットに仕舞った。

 やがて、美代が帰ってきたらしく、トントンと小気味のいい階段
の足音が聞こえた。俺は30分という時間を正確に待って、美代の
部屋を訪ねる。

(トントン)

 今朝と同じようにノックをする。だが、返事が無い。もう一度
同じようにノックをする。すると、僅かに美代の声が中から聞こえてきた。
「…………いいよ」
 蚊の鳴くような声の了解を聞いて、俺は美代の部屋に入った。
ちなみに美代の部屋は6畳の洋室にベッドと机が置いてある。
小奇麗にまとまった、いかにも女の子って感じの部屋だ。
「来たぞ。でも、今月ピンチだからそんなに高いのは無しにしろよ」
 だが、中に入って驚いた。……暗い。雨戸が閉まっていて、部屋の
電気も消してある。
「おいおい、真っ暗じゃないか」
 何の冗談かと思って手探りでスイッチを探す。
「!」
 俺がスイッチのあると思われる部分に手を伸ばすと、そこの位置
には手があった。細く長い指。その手が俺の手を握り締める。
「おい、何の冗談だよ。いい加減にしないと怒るぞ」
「……やだ」
「……えっ?」

 美代は高校生でもかなりスタイルのいい方だ。今朝、パジャマを
脱ぎかけた胸元から見えた双丘もふっくらとその存在感があって、
かなりのインパクトだった。その胸の膨らみが俺の手のひらに押し
付けられている。ふにゅっとした感触が俺の両手に伝わってきた。
「じょ、冗談はやめろって」
 暗闇に慣れてきたのかうっすらと部屋の中が見えてきた。
モデルのような体系に長い髪。美代が俺の目の前に立っている。
石鹸の匂いとシャンプーの香りが部屋を包んでいた。

(コクン)

 思わず生唾を飲み込んでしまった。そこには、レースの下着姿の
美代が立っていた。しかも、目を瞑り、握った手は震えている。
「……好き…………です」
「ちょ、ちょっと。美代……」
 それっきり、俺は声が出なかった。
 妹からの告白。だが、こんな展開は正直予想していなかった。
しかも、とびきり不器用だぞ。いきなり下着姿で告白かよ。勉強は
学校でも群を抜いて良いくせに、恋愛は赤点以下だ。こんなサービスを
しなくたって、美代は十分可愛いのに。
「可愛い?」
 俺は自分で呟いて必要以上に動揺している自分に気がついた。
美代の告白。美代は……美代は家族の……はずだよ……な。

 今まで一番身近で一番親しかった家族。
 愛情という感情をあえて押し殺していた家族。
 見守っていくのが当然と考えていた家族。

「俺……は……お前を」
 
 知っている中で一番可愛い異性。
 一番分かり合えていた異性。
 何でも言い合える異性。

「いいのか?……俺で」

 一番抱きしめたかった少女。
 一番キスしたかった少女。
 一番好きだった少女。

「……兄さんだから……」

 何かが弾けた。意図的に恋愛感情を殺してきた自分の
気持ちの中で、何かが解き放たれる。胸まで鼓動が必要
以上に高鳴り、今にも飛び出しそうになる。暗闇に目が
完全に慣れた頃、熱い吐息が目の前にあった。吸い
込まれるように俺はそれに応じる。

「俺も……だ。ずっと前から……好きだった」
「んっ……」

 重なるだけのキス。だが、俺と美代にとってはとても
大きな意味を持つキス。兄妹が一人の男と一人の少女に
戻るための大切な儀式。カチカチと震える歯が美代の
緊張を表していた。胸にあった手をゆっくりと解き、
左手を肩にまわした。そして、残った右手で頭を優しく
なでる。

「お前は緊張した時、こうやって頭をなでてやると
直ぐ笑顔になって緊張がほぐれたよな」
 実際、俺も緊張しっぱなしだった。でも、今まで妹を
守ってきた俺は、まず妹の事を考えてしまう。
「告白してくれたのは嬉しいよ。でも、無理はしなくて
いい。その気持ちは十分受け取ったから」

 だが、その言葉を聞いた美代はふるふると首を振る。
目元に光るものがあった。
「……何で……泣いてるんだ」
「……」
 何も言わずに俺の胸に顔をうずめてくる。時折嗚咽を
漏らしているのが分かった。部屋の明かりをつける。
すると、美代の机の上には俺が受ける大学の入学案内
があった。その横に置かれた1枚の写真。家族で旅行
に行った時に撮った写真。うつむき加減の美代とブイ
サインをしている俺の写真。2人だけで写っている珍しい
写真。
「お前、これ……ずっと前の……」
「……いっちゃ……や」

 どんないい男に告白されても断り続けた妹。その妹の
気持ちを感じ取れなかった鈍感な兄。俺はずっと遅れて
やっと理解した。
「すまなかった。気がついてやれなくて」
「んんっ……あ、ん……」
 二度目のキスはフレンチキス。お互いの気持ちを確かめ
合うように、二人の時間を埋めるように求めあう。歯で
閉ざされていた美代の口内に舌先でノックする。ゆっくり
と開いた口内に舌を絡めると、甘い舌がそれに答えてきた。
舌が絡み合い、唾液を吸って、その行為に没頭した。

「……あっ……ふっ」
 美代が声にならない吐息を漏らす。涙を溜めた目が
とろんとした状態になり、桜色に染まった頬と口元から
トロトロと唾液が零れ落ちる。
「俺、美代が欲しい。もう、ずっと離さないから」
「……ん」
 返事の代わりに、首を僅かだけ上下させる。やばい……
凄く可愛い。恥ずかしい話だが、俺ももう理性が飛ぶ寸前だ。
みっとも無い話だが、下半身に血液が逆流し体中が高揚
している。そんな時、美代の両腕が俺の胸板に絡み付いてきた。
ぎゅっと抱き合う二人。豊満な胸の柔らかさが胸と胸の
重なり合いから伝わって来る。そして、美代のショーツが
俺の誇張しきったパンツに触れる。一瞬、びくっと腰を
引くが、恐る恐るその腰を密着させてくる。

 その行為が引き金になった。俺の中で美代に対する性欲が
爆発していた。今まで求めてはいけないと考えていた物が
直ぐそこにある。妹だった少女の全てを……美代の全てを
見てみたい。美代の全てを犯したい。そして、全てを手に
入れたい。もう、俺の気持ちは決まっていた。下着姿の美代の
柔らかな胸を右手で包み込む。
右手の中で納まりきれない豊満なおっぱいが手のひらから
こぼれていた。それをゆっくりと揉み回していく。
≪……くっ、……ふっ、うっ≫
 胸は感じるのか、必死に美代は耐えている様子だった。
俺は、すっとブラジャーの横から指を入れ、ぷっくりと
膨れた乳輪と既にツンと尖った乳首を指の間で挟んで刺激した。
≪きゃっ、……うんっ≫
 今まで聞いた事の無いような可愛い声で鳴く。普段、
無口な分、こういう可愛い声で鳴かれるともっと意地悪
したくなってくる。

「どうしてそんなに感じているの?美代はこんなに
いやらしい妹だったんだ」
 美代は首を横に振って慌てて否定する。
「俺の事、おかずにオナニーしていたこともあるんじゃ
ないか?」
 また、同じように首を振る。その様子を見た俺は、愛撫の
手を止めた。性感を刺激され、快感に没頭していた美代は、
驚いて顔を上げる。
「ごめん、やっぱり俺これ以上はできないわ。美代は嘘を
ついているみたいだし」
 懇願するように目で訴えかけるが、俺はすっと体を離す。
すると、美代は小さな、とても小さな声で答える。
「…………シマシタ」
「えっ?何?聞こえないよ。もっとちゃんと教えて」
「…………オナニー」
「好きって言っているのに、美代は隠し事するんだ」
「オナニー……しました……兄さんで」
 搾り出すように美代は答えた。全身が真っ赤に染まり、
完全に下を向いてしまっている。だが、俺は知っていた。
美代はこうする事で俺に完全に身を任せてくる。これは
長い間付き合ってきた美代を、緊張させず逆に受け入れ
やすくする俺の芝居だった。その効果は直ぐに現れる。
下半身のピンク下着から薄っすらと染みが見え始めている。
女性特有の匂いが僅かに部屋に漂ってくる。

「正直に答えてくれたんだ。嬉しいよ。俺も正直に自分を
出すよ」
 俺はそう言って上着とズボンを脱いだ。反り返ったそれを
美代に見せる。美代は目を瞑っていたが、促すとゆっくりと
目を開ける。
「俺がこうなっているのも美代が好きだから。美代が欲しい
からこうなってる」
 最初は遠慮がちに見ていたそれを、美代が段々目が
離せなくなってきている。俺はそれを確認して、両手を俺の
モノに導いた。
「あっ」
「ゆっくりと触って。これが、美代に入るんだから」
 両膝を着いて、美代が両手で陰茎を包み込む。そこで
動きがぴたっと止まる。
「片手で包み込んで、上下にゆっくりと動かすんだ。そして、
もう一つの手は前立腺や裏筋を刺激して」
 ゆっくりと指示通りに動かす。ピクピクと動くのに驚いた
様子だったが、徐々にペースを上げて刺激してくる。
と、同時に俺にもぞわっとした快感がこみ上げてくる。美人で
人気者のアイドルだった自分の義妹が、俺の指示通りに
誇張したものを愛おしそうに摩っている。
「あっ、くっ、んんっ、うっ、んん……上手いぞ。くっ、んん、、」

 俺も声を上げると嬉しそうに奉仕をしてきた。遠慮がちに
顔を近づけている。どうやら知識である程度の事は知って
いるようだ。フェラチオをやっていいかどうか迷っているらしい。
「く、口で……やって欲しい」
 そう、言うとコクリと頷いて恐る恐る唇に亀頭を含んだ。
バナナを大切に舐めるように先の部分だけを唇と舌で刺激する。
生暖かい感触の刺激が背筋を電流のように駆け巡る。
「やば、出る。引いてくれ」
 だが、行為に没頭していた美代に通じるわけもなく、ちゅっ
ちゅっと刺激を続ける。

「あっく、、、うっっっ、、くぅ」
(びゅくっ、びゅっく)

 俺のモノが放たれた。美代はびっくりしてその場に固まって
いる。唇と頬に、白い白濁液がとろりと流れてぽたぽたと床に
落ちる。
「すまん、汚しちまった。拭いてくれ」
 ティッシュを渡すと、にっこりと微笑む。そして、それを
拒否して指ですくって一生懸命に飲もうとする。
「いいから、いいから。そこまでしなくても」
 俺は、さすがに罪悪感に捕らわれて止めようとした。それを
美代は悲しそうな顔をして拒否する。
「いいの……」
 そう言ってまた綺麗にすくって舐めた。

「今度は俺が気持ちよくするよ」
 コクンと頷くと、美代はもたれ掛かってきた。ベッドまで
美代を運んで、下着を脱がす。既に薄い毛にびっしょりと
愛液が溢れ出し、内股の部分まで垂れていた。ずっと我慢して
いたのか、クリトリスも大きく勃起している。
「兄さんの……欲しい」
 美代は懇願する。もう、受け入れる体制は出来ているよう
だった。俺のも準備が整っていた。少し休憩したのが
良かったようだ。唾液で濡れた淫茎が既にこれ以上は無いと
いうくらいに誇張している。
「ゆっくり入れるから、肩の力を抜いて。いくぞ……」
 膣の入り口に亀頭をあてがう。ぬらぬらとした液が
直ぐに亀頭に絡みつく。ゆっくりと探るように上下させると、
それだけで熱い吐息を漏らす。

≪くっちゅっ……≫
「んあ……ぅ……はん、あっ……う」
 片手でしっかりと押さえ、ゆっくりと埋没させていく。
きつい。正直、亀頭の部分が入ったところで、押し返されて
しまう。しかも、ぬるっとした感触と、ギュウギュウと締め
付ける膣内でなかなか挿入していかない。
「あっ、、くっ、、くぅ、、あくっぅ」
 美代も痛さで必死に耐えているようだった。
「大丈夫か。やめるか?」
 美代の目から涙がほろほろと零れた。必死に笑顔を作って
首を横に振る。痛くないわけ無い。でも、必死に
耐えている。早く終わらせてあげよう。この気持ちに
応える為に。俺は覚悟を決めた。
「ちょっとだけ我慢してくれ。きついかもしれないが」

 強く腰を打ちつけた。膣内が今まで以上にぎゅうっと
締まる。背中に回された指が俺の肉に食い込んでくる。
≪くっぅぅぅぅうう!!!≫
 ゆっくりとゆっくりと陰茎が膣内を侵攻していく。やがて
全てが埋没した時、美代の膣内からは赤い鮮血がつつっと、
流れ出していた。

 少しの時間、そのまま俺と美代は抱き合っていた。
やがて、美代が俺に軽いキスを求め、俺が応えてやると
目で合図を送ってきた。美代も痛みが和らいだようだ。
「動くよ」
「……ん」
 俺は美代の合図でゆっくりと出し入れを再開する。
すると、先ほどのきつい感じは無くなり、少しづつスムーズに
動くようになってきていた。
「トロトロとして、美代の膣内(なか)、熱い」
「……んっ、んぁっ……あ、ふっ……ぁっ」
 美代も先程とは違い、徐々にだが吐息の中に妖艶な
息遣いが混じってくる。時折、きゅっと膣内が締まり俺の亀頭
を刺激してくる。子宮口に亀頭の部分がコンコンと当たる。
その度に美代の足先がびくっと緊張する。
「美代が感じているのが分かる。俺のが美代を感じてる……」
「んっ、んんっ、あっ、、ぁぅっ……兄……んぁっ……さぁっん……」

≪くちゅっ、ぐっちゅっ……くちゅ……ちゅっく≫

 静まった部屋に性器が出し入れされる音が響く。赤い血と
白い愛液が混じりあい、潤滑油となってその音が加速して
いく。少しずつ早くなるその淫音と共に、美代の喘ぎ声も加速
していく。

「ん、、、んっ、、、、あっ、あぁうっ、、ぅぅっん、あぁっ、、
んっんん、、」
「もう……そろそろ」
 俺がそう言うと、美代が懇願してくる。
「んっ、……はっぁ……やっ……なか……ぁぁっ、、なかに……
んんっ……お願い」
「分かった。俺、膣内(なか)に……美代に膣内(なか)に
……出すから」
 ぎゅうっと今までにない締め付けが俺を襲う。同時に、俺の
前立腺から一気に射精感が高まっていく。
「んっ、ぁぁっ、ぁぁ、ぁっくぅ、ぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」

 次の瞬間、(どくん)と俺の中で脈打った。何度も何度も
それは収縮される膣内と子宮に放たれる。一緒に果てた美代が
ぽろぽろと涙を流して目を閉じる。そして、暫くして小さな声で
何かを言った。

≪…………だね≫ 

 うとうとしていた俺はその言葉を聞き取れなかった。

 1ヵ月後。俺は東京の大学の入学が決まった。少し早いが
下宿先が決まったので、今日はその引越しをしている。
美代とはあれから多少仲良くなったが、表立っては普通のままだ。
それは俺と美代が決めた約束があったからだった。
それは俺が高校を卒業するまでは兄妹のままでいよう
という事。それは俺の両親を安心させるためにそうしようと
二人で決めたことだった。美代は1年後に東京の大学に受かる
だろう。そうしたら、また仲良く暮らせるさ。

 電車が出発すると、目に涙を溜めて手を振る美代。多少
寂しさが残るが、1年の辛抱だ。まぁ、直ぐに時間は経つ。
そう思ってふとポケットを触ると一通の手紙が入っている
ことに気がついた。ピンクの封筒に見慣れた字。美代からだった。
封を開けてそれを読む。


 兄さん

 バレンタインの時、私の気持ちを受け止めてくれて
ありがとう。私はずっと兄さんの事が好きでした。
 子供の時、初めてあったあの日から、私は兄さんの
事をずっと見ていたの。
 私が困った時、私が助けを求めていた時、いつも
近くにいてくれた。

 そうそう、覚えてる?小さい時、どんな女の子が好き?
って私が質問した時、兄さんは大人しい子って言ってた事。
 私、今でもよく覚えてる。


「ん?ちょっと待てよ」
 俺はそこまで読んで、嫌な予感が頭をよぎる。妹に会って
少しして、こんな事を話した記憶がある。だが、何でこんなに
胸騒ぎがするんだろう。


 私、それからなんだ。無口になろうって決めたの。いつの
間にかそれが普通になっちゃったけどね。


「すると、俺が美代をあんな無口で無愛想な女の子に
したって事か?」
 俺の背中に汗が滴り落ちる。いや、これが問題ではない。
胸騒ぎがどんどんと大きくなる。


 それから、お嫁さんにするならどんな子とするって
話になって、初めて好きって告白した子とするって……


 やばい。これは本格的にやばい。


 一緒になったら俺はその子を一生面倒見るぞ。その子を
手元に置いてずっと離さないんだって。言ってたよね。
 私も離れたくない。少しの間だって。兄さんのいない生活
なんて考えられないし。結婚は早いほうがいいし。
 子供も早く欲しいし。
 だから私、兄さんの所に行くね。直ぐに……待ってて。

 
 そういえば美代は一度こうと決めたら絶対に実行に移す、
有言実行型人間だった。まさか……まさか……。
 

 私、今の学校辞めて東京の女子高に転校することに
なったから。来年は同じキャンパスだね。あ、心配なく。
 兄さんの大学だったら、私今直ぐに試験受けても入れる
から。ちゃんと可愛がって面倒見てくださいね。
 

 俺は美代がもう既に全ての手配を済ませていることを
この時悟った。そして、結婚する気満々で俺の下宿に
転がり込んでくる。しかも、既に美代の荷物が届いていると
いう事か?学校と親を丸め込んで。普段は無口な癖に、
何で手紙だとこんなに饒舌でしたたかなんだ!そりゃ、
美代は好きだけど、同棲だの結婚だのって……まだ、俺
高校卒業したばかりだぞ。

 俺が手紙を丸めてポケットにしまいこんだとき、
≪ぽんっ≫と誰かに肩を叩かれた。振り返るとそこには……。



おしまい


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